屍鬼二十五話 インド伝奇集2009年10月31日

平凡社 東洋文庫323
ソーマデーヴァ 著
上村勝彦 訳

図書館でもらった、平凡社の「東洋文庫 解説目録」で見たタイトルにひかれて探した本だけれど、これが見つからない!ワイド版や古書、電子書籍はあるのだけれど、ちょい高価。
幸い図書館には蔵書があり、グリーンの布張りの古い版を読むことが出来た。

いつからだろう。本が本屋に並ぶ期間が短くなった。新刊書が出なくなったとたんに非常に入手しにくくなる。
もの凄く売れた本なら何年かたっても古書店やネット上で手に入るが、ちょっと特殊な本になると、やたら高値がつていたり、それ以前に在庫しているところが見つからなかったり。
そんなとき、図書館に蔵書があるとありがたい。本によっては予約が殺到していたり、長期延滞のままになっていたりすることもあるけどね。
できればこういう文庫は常に新刊を出しておいてほしいけどな~。
出版社が売れ筋本ばかり出していたら、みんな手に入れやすい本ばかり読んで…一種の思想統制?みたいだ。
ある意味、表題の本よりも不気味だぞ。

王朝物語 小説の未来に向けて2009年10月25日

中村真一郎 著

奥ゆかしいのが美徳みたいな紫式部が、文学論では強気なのが印象的だ。やっぱり天才なんでしょうか。
それにしても、高校の古文では教えてくれないような知識がいっぱい。
例えば、
「源氏物語」で笑われ者として出てくる「源典侍」という五十年配の女官には実在のモデルがおり、物語のヒットによって職場に居たたまれなくなって辞表を出した。そのモデルは紫式部が嫌っていた兄嫁だった…なんて本当だとしたら、それだけでかなり陰険なドラマだな。
日本のシンデレラ・ストーリーなんて思われてる「落窪物語」なんて、とんだ汚物趣味な人が書いてるらしい。あからさまな「悪役」も出てくるし。
「浜松中納言物語」では、主人公の活動範囲は中国にまでおよんでおり、カルチャー・ショックをうけるとか…当時の日本人には中国なんて、イスカンダルみたいなものだったんだろうな。

それにしても、昔も今も「源氏物語」ばかりがなぜ流行る?

面白いほど成功するツキの大原則2009年10月17日

西田 文郎 著

さぎうさぎ的ツキの分類
①人間の個体として、素質に恵まれているというツキ
②生まれ育つ環境に恵まれているというツキ
③人生の過程におけるツキ(いわゆる棚ボタ?)

①と②は、先天的だったり人生のごく初期に周囲に決められてしまうから、本人の努力ではどうにもならない。
この本で扱うのは③で、これを意識的に操作できたら成功できるというのはみんなの願いだ。
しかし、ちょっと違和感がある。単なる言葉のアヤかもしれないが…
ツキのある人がいるのは、ツキのない大勢の人がいるからではないのか?
テストで一番をとれたのは、二番からビリの学友がいたからではないのか?
自分の今の幸運は、本当は他の誰かの分で、その人を不幸にしているのではないか?
そう思ってしまうと、結局、運にもツキにも見放されれた時にも頑張って生きる覚悟を決めておくしかなさそうだ。
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私の父は、若い頃は環境に恵まれていなかった方だと思う。普通、「ゼロからのスタート」というが、父のゼロ地点は他の人のマイナス地点だったようだ。並みの人間なら「絶望的」だ。それこそムチャクチャついてない!
ただ父には、その悪環境の中で頑張ることができる強靭さがあった。おかげで私と兄弟は、みな路頭に迷うことなく、無事に成人することが出来たのだが~残念ながら、兄弟の誰も、父の強さは受け継げなかったようだ。不甲斐ない子供ばかりで、父さん、ごめん!

実践!アインシュタインの論理思考法2009年10月16日

Scot Thorpe 著
宮崎 伸治 訳

「解決策が単純なときは、神が答えている」
先日の『アホは神の望み』の中で紹介されていたアインシュタインの言葉に惹かれてこの本を読んでみた。
~仕事で試行錯誤を繰り返したとき、自分も同じこと思うから。

「神はサイコロを振らない」
~あまりにも有名な言葉。なのに、この本では趣旨が違うのか、これについての説明は載っていない。
自然界の法則を探す過程で「確率」を持ち出すのは違うでしょ?という感じでしょうか。確かに、あきらめが早すぎる人には私も腹が立つ。

「失敗したことのない人は、新しいことに挑戦したことのない人である」
~こういう人によく説教されるんだ。はいはい、私の人生は失敗だらけでござんすよ。

「自分の目で見て、自分の心で感じる人はほとんどいない」
~頭のいい人は誰かに習った判断力で判断し、お金持ちは有名評論家や鑑定家が褒めた美術品を買い、中高生は人気者のある芸能人しか好きにならない…みたいなところ、あるかもね。
自分で考えて失敗し、気に入って買ったら実は安物で、売れてない芸人が好きだと言って友だちにいじめられるような奴は「アホ」なんだろうな、やっぱり。

「時間に関してただ一つ言えることは、一度にすべてのことは起こらないということだ」
~問題や仕事の山も、一つずつ片付ければ、いつかは…片付いてくれるのかも、ね。

「知識は経験を通してのみ得られる」
「読んでばかりいて、あまり頭を使わない人は、思考がだらけてしまう」
~だからこうやって本を読んでる場合ではない!?